妙なテンションのうちに終わった日

中の人がなんとか無事にウチボウズとなり、一通りの親子の挨拶?を済ませ、ほとんど寝ないまま家にたどり着いたのは10時半過ぎごろ。
すぐに寝ればよかったのだけど、なんだか興奮気味で(そりゃあそうだよね)、また一度日の光を浴びたもんだからけっこう目が覚めて、主だった人に報告することに。
まずは、トーチャンに電話。いつもなら一度の電話では出ないし、まだ午前中は体が言うことをきかないんじゃないかと思ってたら、けっこう早く出たので、こっちがびっくり。「オイラです」というと、すかさず「産まれたのか?」と。「うん、産まれた」「ほうか、で、どっちだ?」「男だった」「男かあ。じゃあ、いい名前つけてやれ」と。以前会った時に、もし女の子が産まれたら、去年なくなったカーチャンの名前から一字とってくれないか、と言ってたんだ。「オクチャンは元気か?」「ああ、さすがに疲れたみたいだけどなんとか元気だ」「ほうか、まあ、おめでとう、って言っとけ」「うん、ありがとうございます」「なんだ、ありがとうございます、って」とちょっと照れたように言って、トーチャンは電話を切った。
が、それから10分もしないうちにトーチャンから電話がかかってきて、「産まれたって、今日ってことか?」「ああ、そうだよ、今朝方だよ」「てことは、文化の日ってことか。そうか、文化の日か。それは、いいなあ。じゃあ、ほんとにちゃんと名前考えてやれよ」と変なプレッシャーをかけてきた。ま、それだけ喜んでくれたってことなんだろうけどね。
あとは、高校の時の友達とか、大学の部の人たちとか、ラグビーチームの人たちとかに、メールでご報告。そんなこんなでけっこう時間がかかり、昼近くになってしまい、こりゃさすがにヤバイと、布団に入る。なんとか眠りについたものの、2時間半くらいで起きてしまう。メールを開けると、早くもたくさんの人から「おめでとう」のメールが入っていて、それを見ているうちに、逆にじわじわと実感が湧いてきた。
次の面会時間は午後5時半から。オクチャンからの連絡で、オクチャンのマミーも来るとのことなので、最寄り駅で待ち合わせることに。
で、オイラはその前に、トイザらスへ。やっぱり、産まれた当日というのは、今日しかないので、写真以外に、その形を残しておきたいと思い、よくあるけど手形をとるやつを買いに行ったんだ。しかし、前に来た時にあったシンプルな作りのがなくなっていて、あるのはミッキーだとかプーさんだとかのキャラクターが付いたものばかり。こんなのウチボウズには似合わないな、どうしようと思ったけど、要は形を残すことが目的なのだからと、中でもいちばんごてごてしてないやつを急いで買って、マミーとの待ち合わせ場所へ。
初孫との対面を果たしたマミーは、少し照れているような、でもとっても嬉しそうな。「写真で見るより、小顔ちゃんで、手脚も長いわね」とのこと。ウチボウズも、朝方飲んだ初乳がまだ効いているのか、時々ぐずることはあっても激しく泣き出すようなことはなく、きわめておとなしめ。晴れてグランマミーとのツーショットを撮ったり、お乳をあげるところを見せたりしているうちに、あっという間に面会時間の2時間が過ぎ、オクチャン・ウチボウズとはまた明日。
マミーは東京なので、すぐに電車で帰っていった。遠いところ、ありがとうございました。
で、オイラはまっすぐ家に帰るか迷ったんだけど、なんかどうしても一人の家でないどこかで祝杯を挙げたい気分になって、またいつもと違うことがしてみたい気分にもなって、商店街の寿司屋へふらりと入ってしまった。
たまたま、オイラが入った時は誰も客がおらず、逃げも隠れもできない状態。まずはビールを頼み、生まれて初めて「お任せで握ってもらえますか?」と言ってみる。ところが、住宅街の店だからか、店のほうもそういうのに慣れていないらしく、ちょっと戸惑ったような様子が。親子かと思える二人の板前さんがちょっと目配せして、とりあえず上握りを一人前握ってくれた。それを食べて、ビールの次に日本酒を飲んでいるうちに、一人二人と常連さんらしき客が入ってきたので、その客と板長さんの会話を聞くような聞かないような感じでいながら、少し握りとつまみを追加し、お酒をもう一本飲んで、退散した。オイラの想像(妄想?)では、頃合いを見て、なんでオイラが今日、一人でこの店に入ってきたのか、実は今日は……なんて話になり、そりゃあおめでとう、いやありがとうございます、といった具合に店の人と盛り上がって楽しい一夜を過ごしたのでした、といった感じになることもちょっぴり期待していたんだけど、現実はそう甘くはないってことですね。
味はまあまあだったし、変な感じの店では決してないんだけど、やっぱり慣れないことはするもんじゃないかなと、酒が入ったことによって逆に少し冷静に反省したのだった。ま、これも1つの思い出か。