カーチャンの写真

久しぶりにトーチャンのところへ行く。大きく引き延ばすカーチャンの写真を選ぶのと、カーチャンのことをお知らせするハガキの文面をもらうのが目的。
トーチャンは午前中、病院に行ってきたとかで少し疲れているようだった。そのためか、ちょっといらつきぎみでもあり、せっかく来たのになんだよという気持ちになりそうにもなったけど、それはこっちが我慢しなくちゃね。
カーチャンの女学生時代の写真を見ると、そこにはオイラの中のイメージとはまったく違うカーチャンがいて、そしてネーチャンにかなり似ていて驚いた。
どの写真を引き伸ばすかでは、トーチャンと意見が分かれた。おいらは、かつていた会社の社員旅行の宴席かなんかでふっと振り返ったアップの写真が自然な表情でいいなと思ったんだけど、トーチャンは「そんな横顔なんてダメだ。真っ正面からのじゃなきゃダメだ」と言って、もっと以前のモノクロの写真をピックアップした。かなり引きで撮られたものだけど、まあ、美人さんに写ってるなっていうヤツ。結局、それらを含めほかにも何枚かを伸ばしてみることに。
実はカーチャンは、写真だけでなくいろんなものをたくさんとっておいたようで、オイラが捨てたはずのオイラの小学校の記念品や、林間学校から強制的に送らされた家族宛のハガキなんかも出てきていた。それ以外にもオイラが持っていない子供のころの写真などもあって、もろもろ持って帰らされた。
中の1枚に、まだ学校に上がる前のオイラとカーチャンが手をつないでるんだけど、カーチャンは眉間にしわを寄せ、オイラはどこかおどおどしている表情の写真があって、その裏には「バスを降りてさっそく何か買ってもらいたがり叱られたところ、のよう」なんてメモが。
夕食を食べながらオクチャンと「この表情、全然変わってないよね」なんて笑いながら見てたんだけど、「こんなものも取っておくなんてほんと貧乏性だよな」というと、「それだけ愛されていたんだよ」といわれ、シュンとしてしまった。