電車内小景4題

昨日からまた出稼ぎ仕事で東京に。約1週間ぶりだったからか、車内の光景がちょっぴり物珍しく思えたので、気になったシーンをいくつか。

・オイラの隣に座ったニーチャン、すぐにウトウトし始めた。と、脚をピクンピクンと動いて、オイラの脚に当たるようになる。最初は、なんだこいつって思っていたんだけど、だんだん、なんかウチボウズが寝ているときに手脚をピクピクさせるのを思い出して、そうか、こいつはまだガキンチョなんだな、と隣のニーチャンが(背だってオイラより高いくらいなんだけど)みょーにかわいく思えてしまった。

・帰りの車内、オイラの隣に立ったオジサンが、おもむろに鞄を開けると、中から小さな密閉袋をとりだした。その中には粒上のガムが入っており、それを2つほど取り出すと、口の中に放り込んだ。オイラ驚いちゃったよ。だって、オイラも同じことをしているから。出稼ぎ先の食後など必ずガムをかむんだけど、キオスクやコンビニでは1本100円くらいはする。それより、スーパーでボトルを買ってそれを小分けにしたほうが全然安上がりだと気づいたんだ。オジサンとオイラが車内で隣り合っったのは、ものすごい偶然なのか、あるいは同じことを考えている人はけっこういるんだろうか。それにしても、そうした細々したところで少しでも倹約しようとするオトーサンは、けなげだね。

・だっこひもでガキンチョを抱えたオカーサン、すっと立ち上がり車両の隅のほうに行ったかと思うと、上着でガキンチョを覆うようにし始めた。もしかして車内で授乳? あるいは単に寂しがるガキンチョに乳房を触らせていたのかもしれない。そして、降りる駅が来ると、そのオカーサンは、さっと体勢を立て直し、だっこひもをきちんと締め直して、両手に荷物を持って降りていった。たくましいよね、オカーサンは。

・ふと目をやると、座席に座って何かをすぱすぱしているオヤジがいて、そこから煙のようなものも出ているようだ。えっ!車内で喫煙かよ!とよく見ると、どうやらそれはタバコではなく、禁煙用に売られている電子タバコのようだ。しかし、それにしても、それってどうなのよ、と思ってしまうのだった。しかもオヤジが座っていたのは優先席だし、さらに隣にはその奥さんと思われるオバンが全然気にすることなく座ってるし。よほど禁断症状が激しいのだろうか。あるいは、半分ふざけてやっていて、誰かが注意したら「だってこれはタバコじゃないよ〜」と小学生がみたいにいう気なんだろうか。どっちにしろバカヤローには違いないんだけど、それより気になったのは、もし物心ついたウチボウズがこれを見て、「あのオジサン、なんでタバコ吸ってるの? なんで誰も注意しないの?」なんて聞いてきたときに、オイラはどう答えられるか、どういう態度を取れるか、っていうことだった。オイラは、注意するかな? あれはタバコじゃないからって言い訳するかな? それとも、あんなヤツほっとけ、っていっちゃうのかな?

こうして並べてみると、久しぶりに電車に乗ったから、というより、小さなガキンチョを持つオヤジ目線になったから、同じような光景も、違って見えるようになったのかもしれないね。