何とかゴールにたどり着いた第11回東京夢舞いマラソン

二度目のフル挑戦となる、東京夢舞いマラソン。これは、東京マラソンの前身になった大会で、市民による市民のためのマラソンを標榜し、道路封鎖などせず、参加者が交通規則を守って(つまり赤信号では止まったり、人通りの多い道は歩いたりして)東京を一周しようというもので、マラニック(マラソン&ピクニック)とも言われる。
ただ走るよりも、そういうプラスアルファがあったほうが楽しいなと思っていたし、来年1月の湘南国際への予行練習としてちょうどいいかなと参加したってわけ。
朝の時点ではまだかなりの雨が降っていて心配だったけど、スタートの9時にはかなり小雨になり、かえって走りやすいくらい。しかも、今回が特別なのかもしれないけど、スタート&ゴールが国立競技場というかなりの贅沢さ。46年前に東京オリンピックの開会式が行われたその日に、その同じトラックを走れるなんて、それだけでもなんだかワクワクしてしまった。
しかし、そんな気分の良さを味わえたのは、ほんのつかの間で、10キロあたりからすでに脚にガタがきはじめた。序盤の六本木や麻布、虎ノ門あたりに坂が多く、それに思いのほか脚力を奪われたというのもあるけど、そもそも最近の最長走行距離が15キロなんていうのは、準備不足以外のなにものでもない。
15キロの月島のエイドステーションで、立て直しを図ってはみたものの焼け石に水。20キロの両国駅付近ですでに歩き始める始末。その後、錦糸町のエイドでスカイツリーをバックに写真を撮ってもらって気分転換したり、焼き餅やあんパンで栄養補給したりするも、疲れた脚は言うことをきいてくれない。

その後はもう、走るとか歩くとか関係なく、リミットまでになんとかゴールにたどり着くことを最大の目標に方針変更。歩いたり走ったり歩いたり歩いたりを繰り返しながら少しずつ前に進んでいく。スカイツリーの別れを告げ、隅田川を渡って蔵前橋通りを西に向かうころには、景色の楽しさもほとんどなくなり、意地だけで脚を前に進める。
九段下から飯田橋、さらに神楽坂と後半の坂が容赦なく脚にさらなる負担を強いてきたけれど、ここまで来れば、もうあとは歩いてもゴールに間に合う感じではあったので、とりあえずひと安心。神楽坂上の最後のエイドで浪越指圧学校の方にボランティアあん摩などしてもらう、やけっぱちの余裕をかます
これで残り7キロは走れるかと思いきや、それまでこわばっていた筋肉が少しやわらいだために、かえって関節への負担が増してしまったためか、牛込神楽坂から市ヶ谷へ下る坂でついに膝が爆発。一歩走るごとに激痛が襲うようになってしまった。市ヶ谷から四谷への外堀通り、さらに赤坂御用地から青山通りに出るあたりは、もう歩くのがやっと。途中のスタッフに聞くと、このペースだとタイムリミットぎりぎりくらいとのこと。精一杯歩くスピードを上げる。と、ふらふら走っている人を追い越したりもしてしまう。なんか変な感じ。
絵画館通りに入るともうゴールはすぐそこ。スタッフから「あと400メートルですよ」と声援が。よし、最後は痛みをこらえてラストスパートだと走り出す。ようやく国立競技場の入り口に着き、やっと終わったと思いきや、そこのスタッフから「残りトラック一周ですよ」との声が。さっきのスタッフが言ったのは競技場までの距離で、ゴールではなかったんだと気づくが後の祭り。もう体力も膝の痛みも限界に達していたが、大勢のスタッフや応援者、さらにカメラまで回っている国立競技場のコースを歩くわけにはいかないと、必死の形相でかろうじて走る格好だけはキープ。グループなどではなくたった一人で走っていたからか、バックストレッチを走っている姿が競技場の大画面にアップで映し出されたようだ。自分では全然気づかなかったけど、実家に行った帰りにゴールだけ見届けに来てくれたオクチャンが気づき、しっかりその画面を写真に撮ってくれていた。それが記念と言えば記念になったと言えるかも。
そして文字通り満身創痍でゴール。マラニックと銘打つ大会なのに、楽しさよりも苦しさばかり際立ってしまったが、これはひとえに自分の責任。大会にはまったく罪はない、というか、こういう大会だったから、こんな今のオイラでもなんとか完走(?)できたんだと、感謝感謝だ。いろいろ、いい経験もさせてもらったし。
で、教訓その一。マラソンでは練習は嘘はつかないっていうのはやっぱりホントだった。良い意味でも悪い意味でも。今回は悪い意味で、改めて思い知らされた。やっぱ、長い距離を走るには長い距離を走る練習をしなくちゃね。気合いとか根性ではどうしようもないってことだ(しかも、その気合いも根性もへたれてきてるし、なおさら)。
教訓その二。東京は坂が多い。これも走ってみて再認識した。特にスタート&ゴール付近の港区や千代田区、新宿区付近は数もそうだけど急な坂が多い。湘南の海岸ばかり走っていると、坂でやられてしまう危険があるから、今度挑戦するときは坂道の練習もしとかなくちゃな。
てなことを思いながら、家の近くの串焼き屋で、約1週間ぶりのビールを飲んだのだった。