本を読んでオクチャンとその飼い犬のことを思い出した

その昔、「ハラスのいた日々」(中野孝次)で、電車の中で声を上げて泣きそうになるという大失態をおかしてから、車内で犬関係の本は読むまいと思っていたんだけど、つい、出稼ぎ仕事続きで車内時間が多かったことから手を出してしまった。
犬部!」(片野ゆか著、ポプラ社)。「行き場をなくした犬や猫を保護して、新しい飼い主を探す活動」をしている、北里大学獣医学部のサークルを取り上げたもの。
やっぱ失敗、電車内で読むにはやばすぎた。人間不信に陥った犬や猫たちに対する学生たちの献身的な愛情、少しずつだけど確実に強くなっていく学生と動物たちの絆、そんなときに見せる犬や猫のこの上なく愛らしい姿、そしてその後に待っている「卒業」という名の別れ。
さすがに号泣こそしなかったけれど、車内で何度も視界がぼやけて困った。
しかも後半は、1つの事件をきっかけに無期休部状態に追い込まれた犬部の苦難を通じて、個人と組織との関係はどうあるべきなのかとか、動物愛護とは何かといったことまで考えさせてくれた。
それにしてもオイラは、つくづく犬が好きなんだな。そして、犬の好きな人が好きなんだな。本を読みながら、そんてことを考えていたら、オクチャンと知り合った頃のある光景を思い出した。
オイラたちのラグビーチームの練習にオクチャンが自分ちの犬を連れて見学に来た。ダッシュという名のその雑種犬は、恐がりなのかバカなのか、他のメンバーにはあまりなつかなかったけど、オイラにはなぜか遠慮なく近づいてきて、しまいには着替えようとするオイラの背中にまたがって、ヘコヘコしだしやがった。
なんかそのとき嬉しかったのを憶えている。オイラの犬好きの臭いが、このダッシュにもわかったんだということが。そして、その飼い主も、そんなオイラとダッシュのじゃれあいを笑いながら見ていられるくらい犬好きなんだっていうことが。
すべてはあの時から始まった、なんていってしまうと、あまりに出来すぎだけどね。

北里大学獣医学部 犬部!

北里大学獣医学部 犬部!