かつての早明戦のようで、少し違うようで……

ラグビー早明戦を見る。早稲田は、前回の慶応戦の敗戦からどれだけ立て直してきたか、一方の明治は早稲田に勝った慶応や昨年の優勝校帝京を破った勢いがどこまで続くか、久しぶりにワクワクする早明戦になったと言える。みんなそれをわかっているのか、国立競技場には5万人近くが入場したという。たしかに、見れば客席は上のほうまでほぼ埋まっている。やっぱりラグビー人気の復活はこの両校にかかっているのかも。
ゲームは明治の猛攻から始まった。明治FWが早稲田ゴール前まで幾度も襲いかかり、早稲田はたまらずペナルティ。そこで明治が選択したのはPKではなく、スクラム。徹底してFWにこだわり、そこで早稲田を粉砕しようという意図なのかもしれない。
このあたり、明治らしいと言えば明治らしいし、一つか二つ前の世代の早明戦を彷彿させる感じで、懐かしくはあった。
でも今年の明治は、FWだけでなくBKでも十分勝負できたはずだし、一方早稲田のFWもかつてのように小さくはなく、1人ひとりでも十分明治と渡り合える力を持っている。勝敗ということを考えるなら、FWを起点としつつもBKに展開するとか、PKでまずは先制点を得るという選択肢も十分あったと思う。結局、明治はトライを奪えず、逆に早稲田にカウンターアタックから一発でトライされてしまう。このあたりの攻防が勝敗のあやだったような気がする。
縦の明治、横の早稲田という伝統のカラーはしっかり継承していたけれど、かつてとは少し違う色合いも感じた。後半に明治が奪った二つのトライは、ともにBKに展開してのものだったし、早稲田FWが明治の防御網を破る場面も何度も見られた。今のラグビーは大学でも、FWだけ、BKだけでは勝てなくなっているということなんだろう。
結局、勝敗を分けたのは、伝統のカラーと現在の強みをどうミックスさせて総合力として高めるかという戦い方の巧拙だったように思う。その点が巧みな早稲田、無骨な明治、という図式も、実はまた一つの伝統だったりするんだけどね。
大学選手権では、ぜひ明治FWに、もっとBKを信じて戦ってほしいな。